「民謡と歌謡曲(演歌)の違い」を知りたい方が結構多くて、グーグルで検索すると、その違いを書いているホームページが196万件も表示されます。
だけど残念ながら、この違いについて、わかりやすく解説しているホームページが、なかなかありません。
なので、民謡講師のゴンちゃんがわかりやすく解説させていただきます。
民謡と歌謡曲(演歌)の違い
1.民謡と演歌の歌い方や発声方法
2.民謡歌手と演歌歌手はどちらが上手なの?
3.民謡と演歌(歌謡曲)は歌う目的が違います。
1.まず民謡と歌謡曲(演歌)では発声方法が違います。
まず、民謡と演歌の違いですが、民謡は、マイクのない時代から歌われているので、皆に聞こえるように、大きな声で歌います。
なので自然とお腹から声を出す、腹式呼吸によって歌われます。
いっぽう、演歌や歌謡曲は、大正時代から出てきた創作曲であって、マイクを使うので、さほど大きな声を出さなくても聴こえます。
なので、お腹から声を出すのではなくて、女性が歌いやすい胸式呼吸で歌います。
発声方法も違いがあって、民謡は声を前に出したり、後ろに引いて鼻腔で歌いますが、歌謡曲は声を前に出して歌うことが多いです。そのため、一般の人がカラオケで喉を痛めたり、声がかすれたりする大きな原因は、発声方法です。
私たち民謡歌手は、どんなに大きな声で長時間練習しても、喉を痛めたり、声がかすれるようなことはほとんどありません。
民謡は地声で唄うとよく言われます。
地声とはわかりやすく言えば「体幹」(体の中心部)で、響かせる声のことです。
実際に声を出すのは、声帯ですが、この声をお腹の底から出します。
歌うためには、横隔膜から肺の下までの部分を意識して歌うのが地声です。
各地にある民謡教室では、地声で唄う練習を結構やっています。
2.民謡歌手と演歌歌手どちらが歌が上手か?
歌がうまいだけを比較すれば、これは聞く人にどれだけ歌の内容が伝わるのかを意味しますが、プロ歌手においては、さほど大きな差はなくて、民謡でも演歌でも上手な歌手はたくさんいます。
しかし、伴奏ナシのアカペラつまり地声で歌うと、民謡歌手の方が上手です。
それは、さきほども解説した通り、腹式呼吸で唄う民謡と、胸式呼吸で唄う歌謡曲との歌い方の違いにあります。
腹式呼吸で唄う民謡出身の代表的な歌手である、三橋美智也、細川たかし、金沢明子、福田こうへい、藤あや子、香西かおりなどの歌を聞けばわかりますが、子音に母音をつけて一つ一つの歌詞をハッキリ発音して、一小節、一小節をブレス(息継ぎ)することなく、歌い切るので声に伸びや迫力があります。
いっぽう、胸式呼吸で歌う演歌歌手の曲は結構、ブレスをたくさん使って歌っています。
歌詞の歌尻を濁したり、「らりるれろ」などを「巻き舌」で歌うことが多いです。
つまり、曲に艶を付けて唄うので、演歌をつやうた「艶歌」とも言います。
民謡歌手はどんな曲を歌いこなせるけど、演歌歌手はそうした人が少ないです。
3.メロディーや歌詞に大きな違いがある
民謡の歌詞は、その地方、地域の地名や生活風景、人物が多く出てきて、普段の話し方を大きくした歌い方になります、素のままの感動が伝わることが大きな特徴です。
歌謡曲は、男性と女性との恋愛関係をテーマにした歌が多く、イントロやサビの部分は他の歌とメロディーが似たものが多いようです。
今の歌謡曲は、一人の作曲家が色々な歌手の曲を作るので、必然的にイントロやサビの一部に似通ってるケースが出てきます。
では、歌謡曲と演歌はどうちがうのか?と疑問になる人もいますが、この二つは結論から言えば「大衆音楽」であり、「歌謡曲はヨーロッパやアメリカのメロディーに似通った部分がある創作曲といえます。
例えば、都はるみさんの「北の宿から」はショパン『ピアノ協奏曲第1番』や、美空ひばりさんの「川の流れのように」などはポピュラーソングに似ており、この他、CMソングやアニメソングなどもこうした似通ったケースはよくあります。
古くから伝わる日本の民謡は、作者不明な曲が圧倒的に多くて、メロディーが似通っているのは少ないです。基本的には私たちが、普段話をしたり、呼びかけたりしている声の出し方を大きくして、歌詞や節をつけて大きな声で発声します。
歌謡曲は「歌うこと」「聴いて楽しむ」ことが大きな目的ですが、民謡は地域の生活がテーマであり、そこには豊作、豊漁、無病息災など「願いや祈り」をするのが目的で歌われています。
信じられないでしょうが、病気を治すために歌われる民謡もあれば、山に出かけて木を切る時は山の神様に「ごめんなさい」を心の中で謝り、種をまくときは種が大きく育つように願う唄などがあります。
これが民謡の姿であって、厳かな祈りの唄として古くから伝わっています。