黒人差別への葛藤と挑戦を題材にしたグリーンブックという映画を鑑賞。
物語の時代背景は1962年。僕が15歳のときんなんだ。
日本ではまだ沖縄が米国の時代だ。
子供のころ親父が沖縄に旅行に出かけるのにパスポートを持っていた記憶があるし、出発の自宅玄関前では、親戚や近所の人たちが日の丸の小旗を持って集り盛大に見送ってくれたものだ。
そして、沖縄のお土産にネスカフェというインスタントコーヒーやチョコレートなど買ってきてくれたが、あのネスカフェを飲んだときは、すごくカルチャーショックを受けた。アメリカ人になりなたいと思ったくらいだし、アメリカに憧れた。
まあそんな僕の子供時代に憧れていたアメリカは黒人差別の真っ只中だったとは、こうした映画を見て昔の自分を振り替えれる。
それで、映画の物語だが、ちょうど公民権成立前のアメリカを描いており、州によっては、黒人の金持ちでも白人が泊まるホテルにも泊まれず馬小屋同然の安ホテルに泊まらされるし、白人が利用するトイレもダメな時代だから想像するに本当に悲しい時代だ。
主人公はニューヨーク一流ナイトクラブのボディガードをしているイタリア系のトニー・バレロンガという舌を噛みそうな名前の人物。そこで働いていたナイトクラブが2ヶ月改装することになって、仕事を失ったトニーが知人の紹介で、黒人天才ピアニストの運転手として雇われることから物語は進んでいく。
無学なトニーが遠く離れた妻へラブレターを書くのだが、下手な文章に呆れたシャーリーが代文章を作ってくれるシーンはなかされるぞ。(写真上)
とにかく破天荒なトニーなのだが、雇い主のドクター・ドナルド・シャーリーとの旅回りにおける黒人差別の事件には、見ている僕も現場に居合わせた空気に包まれる。雇われているがトニー自身も黒人に対する偏見も強いのだが、旅回りをするうちに、トニー自身が気づかないまま、雇い主のドクターを気遣うようになる。
そうして南部でのコンサート主催者の黒人差別にはトニーが腹を立てて庇うようになってくる。この時代は黒人がジャズを演奏することができなかったいうからビックリする。
なのでクラシックとジャズを融合させた独自の音楽スタイルで白人の富裕層を魅了することになるが、それは当時の白人特有の優越感だろうか、あんまり上手に表現できないが・・・。
本編の中で次のコンサートに向かう車中でトニーがケンタッキーフライドチキンを食べるシーンがあるが、思わず後で食べようと思ったのは僕だけじゃなく、連れの嫁さんも同じだった。(笑”
しかし、役者でありながら見事にピアノを演奏する彼にはもう感服。
あんな演奏はできないぞ~。
結局、この映画はハッピーエンドになるのだが、一コマ一コマがなんともユーモラスで、時には歯がゆくなる良い映画だ。アカデミー賞三冠に輝いた実力は嘘ではなかった。