病院の帰りにJR博多駅にあるT-JYO博多で映画を鑑賞。
藤沢周平原作の闇の歯車。
この映画は1週間限定の上映で、今日が最終日だった。
僕も一度は時代劇に出てみたいと思っているが、まったく声がかからないというか事務所がこういう時代劇作品への営業活動には馴染みがないから仕方ない。
それより、出演者の瑛大。
僕にはあんまりなじみがない役者だが、主役の左之助に扮したが、着物も粋に着こなしていたし、ハードボイルドなストーリーがよく似合う。もう一人の主役である盗賊伊兵衛を演じるのが橋爪功で、これまた現代劇の出演してるときの飄々とスタイルをそのまま時代劇に持ちこんだが、これに鋭さ、冷徹さを加えた渋い演技には感服した。
映画は隅田川の川端にひっそりとある赤提灯に飲みに来る客のストリーから始まる。互いに話すこともなく黙々と盃を重ねる4人の常連。30過ぎの浪人(緒方直人)と危険なにおいの遊び人(瑛大)。白髪の隠居(大地康夫)と商家の若旦那(中村蒼)。ここに4人を<押し込み強盗>に誘う謎の男(橋爪功)があらわれた。そして、それぞれに関わる女達。誰が操るのか、皮肉なさだめに人を引き込む、闇の歯車が回る。
物語はシンプルだ。文庫本で二五〇ページほどの長さしかない。描写は切り詰められ、文体は藤沢周平史上もっともドライ。男たちの心のうちの修羅が、最小限の乾いた言葉で見事に浮き彫りとなる。彼らの夢と破滅が、酷薄な運命観に支配された息づまるドラマとして屹立するのである。
2月8日BS時代劇チャンネルでも放送されるので、もう一度ゆっくり観たい。